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北向観音ご開帳を訪ねて

2025年11月08日カテゴリー:ブログ

 

先日、檀信徒の皆さまとともに、長野県上田市へ62年ぶりの北向観音ご開帳に参拝してまいりました。善光寺と向かい合うように“北を向いて”建つ北向観音は、諸願成就・現世利益の観音さまとして古くから信仰を集めており、その御本尊が御前立としてお姿を現されるこの時期は、まさに特別なご縁のとき。ご開帳の参拝は、私たちにとっても一年の中でも大きな行事のひとつです。

当日は澄み切った秋空のもと、参道の杉木立を歩くと、紅葉に彩られた木々が優しく迎えてくれました。境内にはすでに多くの参拝者が集まり、七年ぶりの御開帳を心待ちにしていた人々の祈りの熱が伝わってくるようでした。本堂に近づくにつれ、お経の響きが空気に溶け、胸の内が自然と引き締まっていきます。

いよいよ御前立の観音さまと対面した瞬間、言葉にならない静かな感動が訪れました。長い歳月の中で、数え切れないほどの願いと悩み、喜びを受け止めてきた観音さま。その慈悲のお姿に触れると、心に積もっていたものがふっと和らぎ、あらためて仏さまの存在の大きさを感じました。檀信徒の皆さまと一緒に、こうして一つの祈りを共有できたことが何よりうれしく、有難いことだとしみじみ思います。

せっかく上田市まで参りましたので、ご開帳の前後に周辺の名刹にも足を運びました。そのひとつが、断崖に張り付くように建つ布引観音(釈尊寺)です。遠くから眺めるお堂は、紅葉の山肌に朱色の柱が映え、まるで山そのものが信仰を抱きかかえているような迫力。落ち葉を踏みしめながら山道を登ると、途中には小さなお地蔵さまがひっそりと佇み、古くからの祈りの深さを感じさせてくれます。断崖に立つお堂から眺めた景色は息を呑むほど美しく、ここにも人々の思いが何百年も積み重なっているのだと実感しました。

また、国宝・八角三重塔で知られる安楽寺にもお参りしました。全国唯一の八角塔は、素朴でありながらも圧倒的な静けさをたたえ、秋の木々に囲まれた姿はまるで時が止まっているかのよう。木組みのひとつひとつに、長い歴史と信仰の息づかいを感じます。

布引観音の雄大さ、安楽寺の静寂、そして北向観音のご開帳のありがたさ。三つの寺を巡ったことで、旅全体がより深く、心に残るものとなりました。檀信徒の皆さまと同じ景色を見て、同じ祈りを捧げ、笑い合いながら歩いた一日は、なにものにも代えがたい宝物です。

これからも皆さまとともに、仏さまとのご縁を大切につないでいければと思います。

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