令和6年10月23日から24日の1泊2日で、熊野三山巡拝旅行を行いました。神々が宿るとされる熊野の地は、豊かな自然と深い歴史が息づく場所です。今回も、心静かに参拝のひと時を過ごすことができましたが、参加者の皆さまとともに歩んだ巡拝の道は特に印象深いものとなりました。
出発は、朝7時の関シティターミナル。天候は出発前から雨の予報で、旅の行く先に少し不安を抱えながらのスタートとなりました。最初に訪れた「花のいわや」では、静かな空気の中、参拝とともに周囲の自然の美しさを感じるひとときを過ごしました。そしてその後、熊野三山の一つ目の神社「熊野本宮」へと向かいました。
天候は私たちの旅に寄り添ってくれるかのように、神社での参拝中には小雨、移動の車中では強い雨へと変化し、まるで神さまが歓迎してくださっているように感じられました。さらに速玉大社、神倉神社へと向かう頃には雨も完全に止み、神倉神社では晴れ間までのぞき、まさに天の恵みのような天候に感謝の気持ちが湧き上がりました。自然が見守る中で、清々しい空気を胸いっぱいに吸い込むことができ、心が洗われるような感覚でした。
その日の宿泊先は、那智勝浦の「ホテル浦島」です。洞窟風呂で知られるこのホテルの温泉では、太平洋の雄大な眺めを楽しみながら、ゆっくりと旅の疲れを癒しました。自然に囲まれた温泉は、心身の緊張を解き放ち、まさに骨休めにふさわしいひとときでした。波音を聞きながらの湯浴みは、現世を離れ、心を静める時間を与えてくれるものです。
翌朝、私たちは「補陀洛山寺」にて祈りを捧げ、さらに熊野古道の大門坂へと向かいました。石畳の道が続く大門坂を歩きながら、那智大社へと向かう道中は、古より続く巡礼者の足跡を感じさせるものでした。那智大社、青岸渡寺での参拝では、長い歴史に思いを馳せ、改めてこの地の持つ特別な力を実感することができました。そして、その後に訪れた「那智の滝」では、前日の大雨の影響で水量が増し、滝の迫力に圧倒される場面もありました。滝壺から遠くまで届く水しぶきに心身が清められるようで、まさに自然の力を前にしての禊のような体験でした。
今回の巡拝は私にとっても特別な意味を持っていました。私の前々住職は那智の青岸渡寺の第48代住職でもあり、そうした歴史の足跡をたどることができたことは、感慨深いものでした。この地での祈りは、私自身の中にある信仰をさらに深めてくれるものとなり、青岸渡寺にご縁がある者として、改めて自分がこの地に導かれたことに感謝しております。
また今回の旅には、平成25年10月8日から9日に行われた熊野旅行にもご参加いただいた、古くからのお仲間が4名おられました。その皆様と再び熊野の地を訪れることができ、二度目の巡礼をともにできたことは、私にとっても大きな喜びであり、また支えでもありました。ご参加いただいた方々が、今回の旅が「良い旅だった」と口々に感想をお寄せくださったことは、何よりの励みです。
今回の熊野三山巡拝旅行を通じて、改めて熊野の地の持つ深い意味と、その神聖さに触れることができました。そして、参加者の皆様の温かいご協力と励ましの中で、この巡拝の旅がより意義深いものとなったことに、心より感謝申し上げます。これからもこの巡拝旅行を布教活動の一環として続け、熊野の地での祈りをともに分かち合っていきたいと思います。
皆様とまた次の巡拝旅行でお会いできることを楽しみに、今後もこのご縁が末長く続きますことを願っております。