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お水送り

2025年03月04日カテゴリー:ブログ

3月2日、福井県小浜市にある若狭神宮寺で行われた「お水送り」の儀式に参加してきました。

「お水送り」は、奈良・東大寺二月堂の「お水取り」と対をなす伝統行事であり、約1250年前から続く神聖な儀式です。若狭神宮寺の鵜の瀬から送られた清らかな水が、10日後の3月12日に東大寺の二月堂に届くとされており、日本の歴史と文化を今に伝える大切な行事の一つです。

当日は午後から小雨が降り始め、空はどんよりと曇っていました。日が暮れる頃には雨脚がやや強まり、参拝者たちは傘や雨具を手にしながら神宮寺に集まりました。境内では松明(たいまつ)が灯され、雨に濡れた石畳に炎が映り込み、より一層幻想的な雰囲気を醸し出していました。読経が響く中、僧侶や関係者による神事が執り行われ、若狭の地から奈良へと水を送る祈りが捧げられました。

その後、参列者も松明を手にし、炎の列をなして鵜の瀬へと向かいます。雨に濡れた道は滑りやすく、足元に気をつけながら慎重に進みました。小雨に煙る夜道を進む行列は、幻想的でありながらも厳粛な雰囲気を漂わせていました。鵜の瀬に到着すると、神職と僧侶による最後の儀式が行われ、いよいよ「送水の儀」が執り行われます。水面に落ちる雨粒が波紋を広げる中、神聖な水が遠く奈良の二月堂へと旅立つ瞬間は、まるで悠久の時の流れを感じさせるかのようでした。

この「お水送り」の儀式を通じて、日本の神仏習合の文化や、遠く離れた土地同士が精神的なつながりを持つことの尊さを改めて実感しました。また、自然と共存しながら祈りを捧げるこの伝統が、今なお大切に守られていることに感動を覚えました。

春の訪れを告げるこの行事が、これからも変わることなく受け継がれていくことを願いつつ、来年もまた訪れたいと思います。

 

 

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