富加町にある「白華山 清水寺(はっけさん きよみずでら)」を訪れました。今回は、美濃西国三十三観音霊場のご開帳の時期に合わせての参拝。普段は拝むことができないご本尊が御開帳されているということで、静かな期待を胸に向かいました。
清水寺は、岐阜県加茂郡富加町の山あいに位置する、自然豊かで歴史あるお寺です。創建は平安時代初期の大同3年(808年)、坂上田村麻呂の命によって僧・延鎮が開山したと伝えられています。当初は真言宗の寺院でしたが、江戸時代中期頃より臨済宗妙心寺派の末寺として現在に至ります。
境内に足を踏み入れると、凛とした空気が漂い、四方を取り囲む木々と、遠くから聞こえてくる滝の音に心がスッと静まっていきました。本堂へと続く石畳の参道には、美濃三十三観音の幟が風に揺れており、今日が特別な一日であることを物語っていました。
このたびご開帳されていたご本尊は、国の重要文化財にも指定されている木造十一面観世音菩薩坐像。藤原時代の作とされ、非常に柔和なお顔立ちと気品に満ちたお姿は、まさに信仰の象徴。静かな本堂の中で手を合わせると、時間がゆっくりと流れていくような感覚に包まれました。
また、清水寺には岐阜県指定の重要文化財も多く、特に「二天門」はその美しさと重厚感でひときわ目を引きます。持国天・増長天を祀るこの山門は、江戸時代中期の建立とされ、入母屋造りの上層をもつ望楼風の構造がとても珍しいものです。
境内には硯川が流れており、小さな滝がいくつかあります。そのうちの一つでは、実際に滝行も行われているそうで、自然と一体となって心身を清める修行の場としても知られています。今回の訪問時にも、滝の水音が心地よく響いており、まさに“心の洗濯”といえるひとときでした。
自然、歴史、信仰が美しく調和した清水寺。春の新緑、秋の紅葉、そして季節ごとの行事と、何度訪れても新しい魅力を感じることができるお寺です。ご開帳の時期に参拝できたことは本当にありがたく、観音さまの優しいまなざしに背中を押していただけたような思いです。
また時間を見つけて、静けさに包まれたこのお寺にふらりと立ち寄ってみたいと思います。